好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療で目指すこと
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)はその経過のなかで、急に体調が悪くなり、ときには入院が必要になることもあります。このサイトをご覧になっている方も、このような経験をされたことがあるのではないでしょうか。
また、良くなったのに再び悪化して、つらい思いをされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
EGPAの治療では、「寛解(かんかい)」と呼ばれる状態を目指します1)。
「寛解」は治癒という状態ではないものの、病気による症状や検査の異常がみられない状態です2)。
治療の主体はステロイド薬ですが、患者さんの状態に合わせて、ステロイド薬の量を調節したり、他の薬を追加して、病気の状態をコントロールします。
日本のEGPAの診療ガイドラインにおいて、
ステロイド薬はできるだけ少ない量に減らしていくことが重要とされています3)。
- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(編). ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2023, 診断と治療社, p.156
- 難病情報センター. 用語集「寛解」(https://www.nanbyou.or.jp/glossary/寛解)
- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(編). ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2023, 診断と治療社, p.162
EGPA患者さんの体の中で起きていること
EGPAの原因ははっきりしていませんが、体内で異常に増加し、活性化した好酸球が深くかかわっていることがわかっています1, 2)。
好酸球とは「免疫」にかかわる細胞の1種で、寄生虫など体内に侵入した外敵と戦うため、その内部に特殊なタンパク質が貯蔵されています。アレルギー反応などの異常があると、好酸球からこのタンパク質が放出され、外敵ではなく体の組織を傷つけてしまいます。
その結果、細い血管に炎症(血管炎)が起こり、肺、耳、鼻、神経、心臓、腎臓、消化器などさまざまな臓器が障害されます。
EGPAと好酸球3-5)
活性化した好酸球が血管に炎症を起こし、全身の様々な臓器に障害をもたらします。


- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(編). ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2023, 診断と治療社, p.144-145
- Furuta S, et al.: Allergol Int. 2019; 68: 430-436
- 難病情報センターホームページ(https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877)
- 日本呼吸器学会ホームページ(https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-06.html)
- Wechsler ME, et al.: J Allergy Clin Immunol. 2023; 151: 1415-1428
監修:駒形 嘉紀 先生 杏林大学医学部
腎臓・リウマチ膠原病内科学教室 教授