ファセンラ®のはたらき ー好酸球の除去ー
ファセンラ®(一般名:ベンラリズマブ)は好酸球を除去する働きがあります。
ファセンラ®が好酸球の表面に結合すると、ナチュラルキラー細胞※1と呼ばれる細胞が好酸球に引き寄せられます。ナチュラルキラー細胞は、ファセンラ®が結合した好酸球を攻撃し、直接除去します。
- ※1:
- 免疫に関係した細胞で、全身をめぐってウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つけ、攻撃する働きがある。
ファセンラ®によって好酸球が除去される仕組み(作用機序)1-4)


- Molfino NA, et al.: Clin Exp Allergy. 2012; 42: 712-737
- 社内資料(組換えヒトIL-5Rαに対するベンラリズマブの結合親和性)
- Kolbeck R, et al.: J Allergy Clin Immunol. 2010; 125: 1344-1353
- 社内資料(ヒト好酸球に対するベンラリズマブのADCCを介したアポトーシス誘導)
ファセンラ®による治療で期待されること
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療では、血管炎をおさえるためにステロイド薬が使われますが、日本の診療ガイドラインでは、「適切な時期に中止、中止が難しくてもできる限り少量に減らすことが重要」とされています1)。
ステロイド薬などによる治療を行っても効果が不十分なEGPAの患者さんにファセンラ®を追加すると、次のような効果が期待されます2)。
ファセンラ®による治療で期待されること2)


- ※3:
- 治癒という状態ではないものの、病気による症状や検査の異常がみられない状態3)。
- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(編). ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2023, 診断と治療社, p.162
- 社内資料(D3253C00001(MANDARA試験)治験総括報告書)(承認時評価資料)
- 難病情報センター. 用語集「寛解」(https://www.nanbyou.or.jp/glossary/寛解)
ファセンラ®による治療の進め方
ファセンラ®は、経口ステロイド薬などによる治療で効果が不十分なEGPAの患者さんの治療に使われます。
4週間に1回、上腕、太腿またはお腹に皮下注射します。
ステロイド薬などのこれまでの治療にファセンラ®を追加し、症状や検査値を見ながら、状態に合わせてステロイド薬などの量を調節します。
投与スケジュール
4週間に1回

注射方法
1回に1本のファセンラ®を、上腕、太腿またはお腹に皮下注射

大切なこと

- ファセンラ®による治療を始めた後、ご自身の判断でステロイド薬の服用量を減らしたり、中止したりしないでください。
- ファセンラ®による治療を中断すると、再び悪化する可能性があります。寛解が続くように、治療を継続しましょう。
- ファセンラ®による治療で、EGPA以外の好酸球関連疾患(気管支喘息など)の症状が変化する可能性があり、適切な治療を怠った場合、症状が急激に悪化するおそれがあります。
EGPA以外の好酸球関連疾患がある場合は、その治療を担当する医師にファセンラ®の使用について相談してください。また、その医師から薬が処方されている場合は、ご自身の判断で中止や減量をしないでください。

何か気になる点があれば、主治医に相談しましょう
ファセンラ®の副作用
ファセンラ®を注射すると、人によっては頭痛、発熱、注射部位反応※などが起きることがあります。
気になる症状やいつもと違う体調の変化を感じた場合は、主治医または薬剤師に相談してください。
また、じんましん、息苦しさ、舌や唇・喉の腫れなどがあらわれた場合は、重篤な過敏症の初期症状の可能性があるので、速やかに主治医に連絡してください。
発現するおそれのある主な副作用
頻度 | 副作用 |
1%~10%未満 | 頭痛、発熱、注射部位反応※ |
0.1%~1%未満 | 過敏症反応(じんましん、丘疹性じんましん、発疹) |
- ※
- 注射した部位が痛む、赤く腫れる、かゆくなる、皮膚の表面が小さく盛り上がるなどの反応
次のような症状がみられたときは、速やかに主治医に連絡してください



重篤な過敏症の初期症状の
可能性があります
監修:駒形 嘉紀 先生 杏林大学医学部
腎臓・リウマチ膠原病内科学教室 教授